兄の八嶋士奴美神が、大山津見神の娘、名は木花知流比売を娶って生んだ子は、布波能母遅久奴須奴神。この神が淤迦美神の娘、名は日河比売を娶って生んだ子は、深淵之水夜礼花神。この神が天之都度閇知泥神を娶って生んだ子は、淤美豆奴神。この神が布怒豆怒神の娘、名は布帝耳神を娶って生んだ子は、天之冬衣神。この神が刺国大神の娘、名は刺国若比売を娶って生んだ子は、大国主神。またの名は大穴牟遅神といい、またの名は葦原色許男神といい、またの名は八千矛神といい、またの名は宇都志国玉神という。合せて五つの名がある。
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《言葉》
- 【木花知流比売】このはなのちるひめ 後出のコノハナノサクヤビメと対になる神名
- 【布波能母遅久奴須奴神】ふはのもぢくぬすぬの神 未詳、「くぬ」は「国主」に通じるか
- 【淤迦美神】おかみの神 「おかみ」は竜蛇の神で水神
- 【日河比売】ひかはひめ 未詳、河に関する女神か
- 【深淵之水夜礼花神】ふかふちのみずやれはなの神 未詳、水に関する神か
- 【天之都度閇知泥神】あめのつどへちねの神 未詳、水路や水の運行に関する神か
- 【淤美豆奴神】おみづぬの神 「おみづぬ」は「大水主」の意か
- 【布怒豆怒神・布帝耳神・天之冬衣神】ふぬづぬ・ふてみみ・あめのふゆきぬの神 未詳
- 【大国主神】おほくにぬしの神 大いなる国の主、葦原中国の国づくりを成し遂げる
- 【大穴牟遅神】おほなむぢの神 「な」は土地または名声、「むぢ=むち」は尊称
- 【葦原色許男神】あしはらしこをの神 「しこ」は勇猛の意
- 【八千矛神】やちほこの神 多くの矛を持つ神の意、矛を男根の象徴とする説がある
- 【宇都志国玉神】うつしくにたまの神 「うつし」は現世・この世の意、「くにたま」は「国魂」