そして、それぞれがあめやすかわを挟んでうけいをする時に、天照大御神あまてらすおおみかみが、まず建速須佐之男命たけはやすさのおのみことの佩いている十拳剣とつかつるぎを乞い受け、それを三つに打ち折り、玉の緒がゆらゆら揺れて音を立てるほどに、天の真名井まないの水に振りすすいで、噛みに噛み砕き、吐き出した息吹の霧に成った神の御名は、多紀理毘売命たきりびめのみこと。またの御名は奥津島比売命おきつしまひめのみことという。次に市寸島上比売命いつきしまひめのみこと、またの御名は狭依毘売命さよりびめのみことという。次に多岐都比売命たきつひめのみこと三柱。
 速須佐之男命が、天照大御神の左の御みずらに巻き付けていた八尺の勾玉をたくさん長い緒に通して作った玉飾りを乞い受け、玉の緒がゆらゆら揺れて音を立てるほどに、天の真名井の水に振りすすいで、噛みに噛み砕き、吐き出した息吹の霧に成った神の御名は、正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと
 また、右の御みずらに巻き付けていた珠を乞い受け、噛みに噛み砕き、吐き出した息吹の霧に成った神の御名は、天之菩卑能命あめのほひのみこと
 また、御かずらに巻き付けていた珠を乞い受け、噛みに噛み砕き、吐き出した息吹の霧に成った神の御名は、天津日子根命あまつひこねのみこと
 また、左の御手に巻き付けていた珠を乞い受け、噛みに噛み砕き、吐き出した息吹の霧に成った神の御名は、活津日子根命いくつひこねのみこと
 また、右の御手に巻き付けていた珠を乞い受け、噛みに噛み砕き、吐き出した息吹の霧に成った神の御名は、熊野久須毘命くまのくすびのみこと。合わせて五柱。

広告

《言葉》

  • 【天安河】あめのやすのかは 高天原にある川
  • 【多紀理毘売命、奥津島比売命】たきりびめのみこと、おきつしまひめのみこと
  • 【市寸島比売命、狭依毘売命】いつきしまひめのみこと、さよりびめのみこと
  • 【多岐都比売命】たきつひめのみこと 以上三女神は宗像大社の祭神
  • 【正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命】まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと 皇室の祖先神
  • 【天之菩卑能命】あめのほひのみこと 出雲国造らの祖先神
  • 【天津日子根命、活津日子根命】あまつひこねのみこと、いくつひこねのみこと
  • 【熊野久須毘命】くまのくすびのみこと