そこで伊邪那岐命は、佩いていた十拳剣を抜いて、子である迦具土神の首を斬った。そして、その御刀の先に付いた血が、多くの岩石にほとばしり付いて、成った神の名は、石拆神。次に根拆神。次に石筒之男神。三はしらの神。
次にその御刀の鍔に付いた血も、多くの岩石にほとばしり付いて、成った神の名は、甕速日神。次に樋速日神。次に建御雷之男神。またの名は建布都神。またの名は豊布都神という。三はしらの神。
次に御刀の柄に集まった血が指の間から漏れ出て、成った神の名は、闇淤加美神。次に闇御津羽神。
以上、石拆神から、闇御津羽神まで、合わせて八柱の神は、御刀によって成った神である。
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《言葉》
- 【十拳剣】とつかつるぎ 拳十個ほどの長さの剣
- 【石拆神、根拆神】いはさく・ねさくの神 岩盤をも切り裂く剣の威力にちなむ
- 【石筒之男神】未詳、「つつ」は「つち」(〜の神霊)と同じか
- 【甕速日神、樋速日神】みかはやひ・ひはやひの神 雷や火の神
- 【建御雷之男神】たけみかづちのを神 雷の神
- 【建布都神、豊布都神】たけふつ・とよふつの神 剣の威力を象徴する。「ふつ」は剣が斬る音
- 【闇淤加美神、闇御津羽神】くらおかみ・くらみつはの神 谷の水をつかさどる神