殺された迦具土かぐつちの神の頭に成った神の名は、正鹿山津見まさかやまつみの神、次に胸に成った神の名は、淤縢山津見おどやまつみの神、次に腹に成った神の名は、奥山津見おくやまつみの神、次に陰部に成った神の名は、闇山津見くらやまつみの神、次に左手に成った神の名は、志芸山津見しぎやまつみの神、次に右手に成った神の名は、羽山津見はやまつみの神、次に左足に成った神の名は、原山津見はらやまつみの神、次に右足に成った神の名は、戸山津見とやまつみの神。正鹿山津見神から戸山津見神まで、合わせて八柱の神。 そして、迦具土神を斬った御刀の名は天之尾羽張あめのおはばりといい、またの名を伊都之尾羽張いつのおはばりという。 

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《言葉》

  • 【正鹿山津見神】まさかやまつみの神 未詳、マサカは真坂の意か
  • 【淤縢山津見神】おどやまつみの神 未詳、オドは「下処」(おりど)の意か
  • 【奥山津見神】おくやまつみの神 奥山をつかさどる神
  • 【闇山津見神】くらやまつみの神 谷山をつかさどる神、クラは峡谷
  • 【志芸山津見神】しぎやまつみの神 木々の茂る山をつかさどる神、シギは「繁木」(しぎ)または「繁」(しげ)か
  • 【羽山津見神】はやまつみの神 麓の山をつかさどる神、ハは「端」(は)で山の端、つまり麓のこと
  • 【原山津見神】はらやまつみの神 原山をつかさどる神
  • 【戸山津見神】とやまつみの神 外山をつかさどる神、トは「外」で「奥」に対する言葉、里に近い山
  • 【天之尾羽張、伊都之尾羽張】あめのをはばり、いつのをはばり イツは勢い盛んなさま